■2011年5月17日
「2011年度歴史学研究会総会決議(案) 3・11後の歴史学関係者の責務」に対する意見書


                                             2011年5月17日

  歴史学研究会委員会殿

 NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク
                               理事長  平 川  新
                               副理事長 菊 池 勇 夫
                                同   斎 藤 善 之
                                同   柳 原 敏 昭

  貴委員会が来る2011年5月21日の歴史学研究会総会に提案する予定の総会決議案について、NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク(略称:宮城資料ネット)は強く異議を唱えます。

 私たち宮城資料ネットは古文書を中心とした歴史資料を未来に残すべく、2003年7月の宮城県北部地震直後から歴史資料保存の活動を開始しました。被災地での保全活動が一段落したあとには、来るべき地震等に備えて災害「前」の保全活動に取り組み、数万点の史料の保全と写真記録化を進めてきました。写真記録は宮城資料ネット事務局だけではなく、所蔵者および地元の教育委員会、東北歴史博物館にも提供して利活用していただくと共に、複数保管によるリスク分散をはかってきました。このたびの3.11大震災においても宮城資料ネットは、全力をあげて被災地における歴史資料の保全に取り組んでいます。その取り組みについては、本ネットのホームページに掲載しているやニュースレター等をご覧下さい。

 このような活動を展開してきた私たちからしますと、貴委員会が提案しておられるこの決議案は、歴史学会の発する声明としては その範囲を越えた内容をもっていると判断せざるを得ません。また、貴会があたかも歴史研究者全体の価値観や研究課題等の審判者であるかのような印象を与えてしまう表現も目につきます。個人的見解ならばともかく、一学会として、あるいは多様な考え方をもつ研究者の集合体として、このような声明文を発することが適切であるとは思われません。しかもこうした声明文に、宮城資料ネットの名前を出されることは、はなはだ迷惑なことであ り、不本意なことです。当ネットの名前を出すことはお控えください。

 また文中に、「復興に向けて努力する被災者と連帯する」とあります。しかし、このような声明文をもって一方的に「連帯する」などといわれても、被災者でもある私たちは困惑するだけです。

 決議案の文言については、このほかにも違和感を抱かざるをえない表現が多々見受けられます。煩雑になりますので、その個々について指摘することは控えておきますが、率直に申し上げると、この声明文は、被災地の住民を励ますものでも、必死で資料保全をおこなっている私たちを勇気づけるものでもありません。文中にあげた当ネットの名称にも誤記があります。
  
 もし、このような内容の声明文が公表された場合には、歴史学研究会の見識が問われることになると思われます。宮城資料ネットとしては、この決議案が撤回されることを望みます。
                                                  以上