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264 号(2015 年3 月30 日)

   歴史資料保全のボランティアを募集します
 
 来週より新年度となりますが、引き続き東日本大震災で被災した歴史資料のクリーニング作業に関するボランティアを募集いたします。週に1 回程度、下記の要領で作業を予定しております。ご関心のある方は、必要事項をご記入の上、メール・FAX・郵送のいずれかで、下記連絡先までお申し込みください。
 2016 年度もどうぞよろしくお願いいたします。
-------------------------------------------
◆お名前
◆ご所属
◆ご連絡先
ご住所
電話/メール
◆ご希望日時 ※部分参加も可能です。
□ 4 月6 日(水) 10:00〜17:00
□ 4 月13 日(水) 10:00〜17:00
□ 4 月20 日(水) 10:00〜17:00
□ 4 月27 日(水) 10:00〜17:00
◆作業場所:東北大学災害科学国際研究所5 階 (仙台市青葉区荒巻字青葉468-1)
◆その他
・作業に必要な道具等(マスクなど)は準備しておりますが、汚れても良い服装をご準備下さい。
・駐車場は利用できませんので、公共機関でお越しください。
◆申込・お問い合わせ 天野 022-752−2142 office☆miyagi-shiryounet.org (☆=@)

 ニュース263号(2016年3月18日)
 
  4月23日 仙台市で歴史講演会を開催します

事務局の佐藤大介です。4月23日土曜日に開催される宮城資料ネット総会に合わせ、震災後に本法人が企画した、被災地の歴史を再生叙述する「よみがえるふるさとの歴史」シリーズに関連した歴史講演会を開催いたします。

 会場の都合上(最大80名)、事前申込とさせていただきますので、参加を希望される方はお早めにご連絡ください。

締め切りは、4月8日金曜日、とさせていただきます。ご多忙の時期とは存じますが、ふるってご参加ください。


2016年度 宮城歴史資料保全ネットワーク 歴史講演会 実施概要(2月26日現在)

○開催日 2016年4月23日 土曜日
○会場
PARM-CITY131貸会議室 ANNEX館
 仙台市青葉区一番町3丁目5-1
 http://www.tsuchiya-estate.com/20_palmcity/access/index.html
○開催時間・内容  
 
 午後2時〜 公開講演会(3F多目的ホール)

  平川新氏「『よみがえるふるさとの歴史』シリーズについて」

  柳谷慶子氏「仙台藩の海岸林と村の暮らし」

  菅野正道氏「イグネのある村へ 仙台平野における近世村落の成立」

*講演会終了(午後4時頃予定)後、NPO法人宮城歴史資料保全ネットワークの総会を実施します。

*申込書
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4月18日に開催される、宮城資料ネット公開講演会への参加を申し込みます。
お名前 :
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*NPO法人宮城歴史資料保全ネットワークでは、活動を支援してくださる会員を募集しております。
 正会員年会費  3000円(議決権あり)
 賛助会員年会費 一口 2000円
 団体賛助会員 一口 5000円

*「よみがえるふるさとの歴史シリーズ」http://banzanbou.com/annai/ 当日、会場にて、特価にて販売予定です。


262 号(2016 年3 月18 日)

   311 より5 年 支援への御礼
 事務局の佐藤大介です。東日本大震災をもたらした地震・津波の日から5年が経過いたしました。少し時間が経過してしまいましたが、この間、多くの方々からご支援いただいていることにつきまして、本法人より改めて御礼申し上げます。


 事務局の佐藤は、3 月11 日に東京・上野で開催された「文化遺産防災ネットワーク推進会議」に出席しました。現場での課題が、文化財防災の方向性を決める場で議論され、少しずつではあっても認識が共有されていく場となっていることを理解することが出来ました。
 翌3 月12 日には、千葉県白井市の白井市郷土資料館を訪問し、同館で行われている文書修復ボランティアを見学し、一昨年に依頼した、石巻市の古文書修復の御礼を、ようやく直接申し上げることが出来ました。同館の修復ボランティアは10 周年を迎えたそうです。自らの歴史を伝える資料を、みんなで守っていく、そのような動きも、静かではあるが確実に広がっていることを感じることが出来ました。


 被災した史料の修復がいつ終わるのか、目処は全くたちません。そもそも、日々の活動を果たして継続していけるのか、不安の方が先立つ近況です。しかし、活動が被災者の真の意味での回復と、地域の再生に資するものだと信じて、引き続き活動を続けてまいります。多くの方々のご支援を、引き続きよろしくお願い申し上げます。

261 号(2016 年3 月10 日)

    被災歴史資料保全と市民 その役割とは・震災5年目に考える


 佐藤大介です。宮城資料ネットでは、東日本大震災をきっかけに、数多くの市民の方々に、被災歴史資料の救済保全、さらには地域の歴史資料保全活動への協力を得ています。現状についてご紹介し、そのことについて私自身が今考えていることを述べてみたいと思います。


 2011 年5 月から始まった被災資料の保全活動に、数多くの市民の参加を得ていることは、前号でも述べました。参加の呼びかけは、災害後の本ニュースや公式サイト、仙台市博物館友の会やシルバーセンターでの呼びかけに加え、会員個人の友人関係など震災「前」からのつながりを生かしたものでした。参加人数は別途整理する必要がありますが、数百人単位に登ります。
 私個人としては、市民参加については、当初は「人手不足の解消」程度の意味にしか考えていませんでした。しかし、活動を5 年間続ける中で、そのような発想は、「市民の力」に対する認識が決定的に不足していた、ということを痛感させられています。
 

現在、「常連」となっているのは、仙台地区の方々です。そのほぼ全員が、古文書に触れるのは初めて、という方々でした。補修や撮影作業に際しては、依頼している文書が被災地の歴史を知る上で貴重な史料であることを直接伝えたうえで、「古文書が読める専門家」としての立場から、折々に目の前で作業をしている内容を即興で読んで伝える、ということをしてきました。
 その影響かどうかは分かりませんが、作業を開始してから1年程過ぎると、「自分たちが補修している文書には一体何が書いてあるのか」という興味関心が共有されるようになっていました。そのため、作業の終了後に、週一度程度の古文書解読講座が開かれるようになりました。
 さらに、その一部の方々は、講座以外にも古文書を独習して解読力を高め、ついには、保全した史料を解読した報告書を編集するまでになりました。今では、当方が、解読した古文書の校正を依頼し、真っ赤になって戻される、という関係になっています。「私のような研究者に情報提供するだけでなく、自分で研究することにも挑戦してみてください」とも助言しています。

  (上・下)補修作業終了後の古文書解読会
  (2013 年2 月18 日撮影)



 また、今年に入ってからは、自分たちで現状確認から整理、報告者の作成まで一貫して行いたい、先生(佐藤)は必要な部分だけご指導ください、という申し出がありました。仙台市内の個人所蔵者を対象にした保全活動が自発的に企画され、被災資料対応とは別に、週1回の保全活動が始まっています。


  市民の方々が資料に触れるきっかけは、東日本大震災という不幸な出来事でした。一方、そのことが、女性や高齢者といった方々でも出来る被災地支援の場となったことは、以前にも述べたことがあります。そのことに加え、現物に触れることがその内容に対する関心を深め、ついに自ら「研究」し、保全活動の担い手として主体的に活動する方々も生まれるに至りました。
 災害を契機に社会が変化する、ということがよく指摘されます。その意味では、宮城資料ネットも本当の意味での市民参加型の史料保全組織になった、といえるでしょう。
 さらにいえば、その活動を通じて、地域の歴史資料の保存と継承、さらには内容の調査まで担う「郷土史研究者」が生まれる場としての可能性も持ち得た、ということもできるのかもしれません。


 一方、「専門家にしか出来ない領域がある」とか、「郷土史はナショナリズムを助長するので慎重に」といった「指摘」を受け、またそのような主旨の文章を目にすることが折々にあります。
 修復も郷土史研究も、確かに守らなければならない「基礎の「き」」があることは言うまでもありません。であれば、専門家なら、そのことをわかりやすく伝えることこそが、社会的な責務なのではないでしょうか。
 またこのような指摘に、「市民は、市民でしかない」というような意識を感じ取ってしまうのは、想像力の行き過ぎなのでしょうか。市民の力を信頼する―このような表現自体も、「専門家」側の目線に立ったものになってしまうのかもしれません。しかし、特にこの1年ほどの市民の方々と協働を通じて、そのことの重要性を強く感じるようになっています。言いかえれば、社会における「歴史の専門家の役割」とは結局何なのか、ということを厳しく問われ続けている日々でもあります。



 もちろん、保全活動に参加するすべての方が郷土史研究者になるべき、ということではありません。これも宮城資料ネットの活動報告で折々述べてきたことですが、解読や目録作りは、史料の活用のためには重要な作業の一つですが、それでも保全活動全体から見れば、「ほんの一部」のことです。
 モノとしての安定を保つ、環境を整えるための掃除、さらには組織の運営や資金の確保といった、古文書が読めなくても出来る多様な領域があります。それゆえ、多様な市民参加の機会があるのです。
 史料ネットという形をとるのか、行政が主体となるのか、組織のあり方も多様であってよいでしょう。どのような形であれ、このような場が全国津々浦々に出来ていけば、多くの歴史資料が災害から守られ、さらに歴史資料を核とした新しい地域作りにもつながっていくのではないか、と考えています。すこし期待が大きすぎるでしょうか。

 最後に、社会を経験した方々から見ると、当方の事務運営は危うさ一杯、だそうです。次年度に向け、組織運営の面でも、より積極的な形での参画をお願いできればと、個人的には考えているところです。

   
   市民ボランティアによる古文書解読報告書3点 
 市民ボランティアによる仙台市内の資料整理 (2016 年2 月5 日撮影

                      

 260(2016年3月10日)

  果てしなき補修 未だ続く津波被災文書への対応 2015年常総市水害支援

佐藤大介です。被災5年の現況をお伝えするシリーズ、諸事に取り紛らせ、気がつけば明日震災5年の日を迎えます。

 今回は、未だに続く津波被災文書への対応の現況についてお伝えします。


 宮城資料ネットでの津波被災文書への応急処置活動は、2011年5月から始まりました。東京文書救援隊など保存修復分野の各専門家からの初期の技術支援を得て、女性や退職者を中心とする一般市民の方々、さらに仙台地区内外の大学から、ゼミ単位および個人での参加で対応を続けています。

 当初は、平日5日間、さらには復旧・復興関連事業による資金的な裏付けも得て行っていました。ただし、後者の多くは前年度末までで打ち切られました。目下、毎週水曜日に、完全ボランティアの形で、作業を継続しています。震災直後からの常連のみなさんと、本ニュースを通じた募集案内に応じた新規の参加者で、毎回7〜8名程度で作業を続けています。

 また、東北芸術工科大学竹原万雄ゼミでは、毎月一度、石巻市で救出したK家資料の補修および整理・調査を、山形市から通勤して行っています。それでも、補修の速度は、当然ながら遅くなっています。

 また、昨年9月11日から12日にかけて関東と東北を襲った豪雨で被災した、茨城県常総市の個人所蔵史料2件について、茨城史料ネットから、NPO事務局のある東北大学災害科学国際研究所歴史資料保存研究分野にて受け入れ、真空凍結乾燥機による処置を施しています。2月18日から19日には、茨城大学から高橋修ゼミの学生15名ほどが仙台市に来訪し、ボランティアによる補修を行いました。同大学からは3月14日、15日の両日にも添田仁ゼミの学生が作業にあたることになっています。


 目下の作業は、全くの善意頼みとなっています。作業場所は、9月に茨城から受け入れた被災資料の乾燥処置により、文章では十分伝えることが出来ませんが、強烈な臭気が漂う状況です。宮城資料ネットのボランティア、さらには東北芸工大や茨城大学の学生たちは、過酷な環境の中で作業を続けているのです。

 「ボランティア精神」には、心から敬意を表すべきです。また、持続的に活動していくためには、近年ますます「短期間での成果」が求められる各種事業の制約を受けない形の方がむしろ望ましいのかもしれません。

一方、ボランティアの方々には、その活動に相応しい「対価」が与えられるべきだとも思います。

 作業参加者や支援者の方々に感謝しつつも、現状に対するやりきれない思いがぬぐえないのは、それらに対し何らの打開策を打ち出せない私自身の力不足を、他に転嫁しているだけなのでしょうか。 

 259号(2016年2月26日)
 
    歴史資料保全のボランティアを募集します
 
 東日本大震災で被災した歴史資料(古文書など)のクリーニング・整理作業にご協力いただける方を募集しています。

 週に1回程度、下記の要領で作業を予定しております。ご関心のある方は、必要事項をご記入の上、メール・FAX・郵送のいずれかで、下記連絡先までお申し込みください。
-------------------------------------------
◆お名前
◆ご所属
◆ご連絡先
 ご住所
 電話/メール
◆ご希望日時 ※部分参加も可能です。
 □ 3月2日(水) 10:00〜17:00 
 □ 3月9日(水) 10:00〜17:00
 □ 3月16日(水) 10:00〜17:00
 □ 3月23日(水) 10:00〜17:00
 □ 3月30日(水) 10:00〜17:00
◆作業場所:東北大学災害科学国際研究所5階
      (仙台市青葉区荒巻字青葉468-1)
◆その他
・作業に必要な道具等(マスクなど)は準備しておりますが、汚れても良い服装をご準備下さい。
・駐車場は利用できませんので、公共機関でお越しください。


◆申込・お問い合わせ
 天野 022-752−2142
   office☆miyagi-shiryounet.org  (☆=@)
258 号 (2016 年2 月23 日)

 石巻市北上町・雄勝町での写真帳返却
     遺されていた被災古文書
 
 東日本大震災5年・被災地より(2)

 宮城資料ネットの佐藤大介です。東日本大震災5年の歴史資料救済活動の現状報告、最初の発信から時間が空いてしまいました。今回は、津波で原本を失った、石巻市北上町および雄勝町の所蔵者の方々への写真帳返却についてです。


 同地区の古文書被災については、ネットニュース100 号でお伝えしておりました。北上町史編さん事業で撮影された古文書については、当方も含めた関係者が保管していた写真が残されました。昨年12 月20 日と22 日、事務局らで6家を訪問し、ようやくお手元にお返しすることが出来ました。

 先祖伝来の古文書写真をご覧になって泣き崩れた方、「先祖から受け継いだ文書を失ったことが一番悔しかった。今日が一番嬉しい日だ」とおっしゃった方、古文書に加え刊行された『北上町史』も、町民配付分に加えすべての在庫が津波で失われてしまう中、地域の歴史を知る手がかりを何とか残したいと依頼される方。感謝と、先祖や地域の歴史を残すための活動への強い期待を感じる機会となりました。

保管されていた被災古文書(2015 年12 月24 日仙台市にて撮影)→


 また、20 日に訪問した一軒の所蔵者方では、被災した古文書の原本を保管されていることが分かりました。津波で自宅が流され、その後片付けに訪れると古文書が散らばっていたので拾い集めた、ただ、誰に相談すれば、どうすればよいのか分からなかったので、今までずっと保管していた、とのお話しでした。文書は、中性紙封筒に整理されたままの状態で、すでに乾いていました。冊子体の文書は固着しています。すぐにお預かりし、仙台に輸送しました。

 今回救出された文書も、私が北上町史編さん事業にアルバイトとして関わっていた13 年前、2002年7 月3 日に撮影し、目録作りをしたものです。ぼろぼろになった中性紙封筒には、私が手書きした整理番号も記されていました。ネットニュース100号では、上記古文書の被災を「自分自身の人生の一部を失ったようだ」と記しました。今回、一部ではあっても原本を救出できたことは、私自身にとっても、人生の一部を取り戻せたような気持ちがしています。



 今回救出した文書を、今後どのように処置していくかは未定です。修復が実現可能なのかどうかも分かりません。所蔵者の方には、その成否にかかわらず、文化財の被災を後世に伝える資料として生かしたいとお伝えしています。

 その一方、今回訪問した所蔵者のほとんどが、ようやく新しいご自宅など生活の拠点を確保できたばかり、という状況でした。すなわち、被災した古文書があったとしても、所蔵者の方々は、ようやくそれらに目を向けることが出来る状況になってきた可能性がある、ということでもあります。その意味では、特に個人所蔵の被災史料レスキューは、まだこれから対応すべきことがある、と言えるのかもしれません。

 本ニュースをご覧の方々には、被災した歴史資料の救済活動を実施していること、たとえどのような被災状況にあっても修覆出来る可能性があること、もし不可能だったとしても、東日本大震災の脅威を後世に伝える「史料」として保管しておいてほしい、ということを、多くの方々に広めていただければ幸いです。

257 号(2015 年2 月5 日)

      石巻市・本間家土蔵の現在


  東日本大震災5年・被災地より(1)

 まもなく、東日本大震災の発生から5年が経過しようとしています。そこで、被災地の現状や、歴史資料救済活動の現状について、事務局の佐藤から御報告したいと思います。今回は、石巻市の本間家土蔵の現況です。

 (曵屋工事中の土蔵 2015 年8 月26 日撮影→)

 石巻市門脇にある本間家は、2011 年3 月11 日の津波で被災しましたが、古文書などを保管していた土蔵が奇跡的に倒壊をまぬがれました、同年4 月8 日に、津波被災地での最初の活動として救出活動を実施しました。救出された歴史資料は、宮城資料ネットや、東北芸術工科大学文化遺産修復センターなどの支援で復旧されています。これらの資料は、本間家に返却されています。
 また、地元の郷土史団体などの呼びかけにより、土蔵自体の保全も実現しました。土蔵には多くの来訪者があると共に、町内会の復興の象徴としての役割も果たしています。

 その土蔵ですが、門脇地区での区画整理事業に協力するため、昨年の夏から秋にかけて曵屋が行われました。現在は、元の所在地から10 メートルほど日和山側に移動しています。この工事にともない、現在は見学が中断されています。一方、この春から公開を再開するため、所有者の本間英一さん自ら、内部の整備など準備を進められているところです。再開の日程については、改めて本ニュースでもお知らせしたいと思います。内部の様子については、ぜひ現地でご確認ください。

 門脇周辺ですが、かさ上げと防潮堤も兼ねた道路工事により、震災前の風景とは一変しつつあります。一方、土蔵を中心に人々が集い、復興に取り組んでいます。これらの様子は、本間さんみずから記録し、コミュニティニュースで発信されていますので、ぜひごらんください。
 本間家の歴史資料や土蔵と合わせ、まさに「草の根のアーキビスト」としての活動が、被災した地域の過去と現在、さらに未来をつないでいきます。

 (工事を終えた土蔵 2015 年11 月6 日撮影)






*本間家土蔵修繕工事について(本間家土蔵公式サイト) http://www.hanadataz.jp/k/001/00/honma00.htm


256 号(2016 年2 月1 日)

   歴史資料保全のボランティアを募集します

東日本大震災で被災した歴史資料(古文書など)のクリーニング・整理作業にご協力いただける方を募集しています。
週に1 回程度、下記の要領で作業を予定しております。ご関心のある方は、必要事項をご記入の上、メール・
FAX・郵送のいずれかで、下記連絡先までお申し込みください。
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◆お名前
◆ご所属
◆ご連絡先
ご住所
電話/メール
◆ご希望日時 ※部分参加も可能です。
下記の内、ご希望日時をチェックしてください。その旨ご記載ください。
2 月3 日(水) 13:30〜17:00
2 月10 日(水) 10:00〜17:00
2 月24 日(水) 10:00〜17:00
※2 月17 日(水)はお休みです。
◆作業場所:東北大学災害科学国際研究所5 階
(仙台市青葉区荒巻字青葉468-1)
◆その他
・作業に必要な道具等(マスクなど)は準備しておりますが、汚れても良い服装をご準備下さい。
・駐車場は利用できませんので、公共機関でお越しください。

◆申込・お問い合わせ
   担当 天野  022−752−2142    eメール (*=@) office*miyagi-shiryounet.org


 第255号(2016年1月21日)

   第2回 全国史料ネット研究集会開催のお知らせ
 
 事務局より、3月19日・20日の両日、福島県郡山市で開催される、第2回全国史料 ネット研究集会のご案内です。詳細については決まり次第続報いたします。多くの方のご参加をお願いすると共に、周りに関心のある方がいらっしゃいましたら ご案内いただけますと幸いです。(佐藤大介・記)

 ふくしま歴史資料保存ネットワーク事務局です。標記の催し物のご案内です。

 第2回 全国史料ネット研究交流集会 ※第1回の模様はこちらをご参照くださいhttp://siryo-net.jp/event/zenkoku_shukai/

日時  3月19日(土) 13〜17時(予定)
     3月20日(日) 9〜12時半(予定)

会場 郡山市市民プラザ 大会議室 (郡山駅西口から徒歩1分、ビッグアイ7階)

入場 無料、事前申し込みは不要

主催など(予定) 
 主催 第2回全国史料ネット研究交流集会実行委員会  独立行政法人国立文化財機構
 共催 科学研究費補助金基盤研究(S)「災害文化形成を担う地域歴史資料学の確立―東日本大震災を踏まえて―」(研究代表者・奥村弘)研究グループ
 後援 NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク、ふくしま歴史資料保存ネット
ワーク、茨城文化財・歴史資料救済・保全ネットワーク、歴史資料ネットワーク

 ※随時、追加予定
     
問い合わせ先 ふくしま歴史資料保存ネットワーク事務局 阿部浩一 e-mail shiryo-net@ipc.fukushima-u.ac.jp 
                    ※なお、お問い合わせはメールにてお願いいたします。


 第254 号(2016 年1 月14 日)

 関山街道講座「よみがえるふるさとの歴史―地域資源の存続の意義を考える」

 事務局からのお知らせです。仙台市広瀬市民センターにおいて関山街道講座が開催されます。詳細は下記をご参照ください。
申込み・お問合せは1 月20 日まで仙台市広瀬市民センター(電話022-392-8405)へご連絡下さい。

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 平成27 年度 公益財団法人仙台ひと・まち交流財団 仙台市広瀬市民センター・関山街道フォーラム協議会連携事業

 関山街道講座「よみがえるふるさとの歴史―地域資源の存続の意義を考える」

緑豊かな自然・歴史・文化などの地域資源に囲まれているこの宮城地区。世代も変わり、人もかわり、いつしかその貴重な歴史資料の価値さえも忘れ去られようとしています。
また、自然災害も多くなっている現代。《歴史資料レスキュー》という手法で、いつ起こるか分からない災害から、貴重な資料を守り、継承していきましょう。

◆講師:天野真志氏(東北大学災害科学国際研究所 助教)
◆会場:広瀬市民センター 2階セミナーAB
◆参加費:無料
◆対象・定員:どなたでも 20名(先着)
◆申込み:1月20日(水)まで、広瀬市民センターへ電話または窓口へ

◆開催日時・内容
1回 1 月31 日(日)10:00〜12:00
       映像鑑賞(30 分)
       「歴史資料保全の取り組み」の映像を鑑賞しながら、歴史的価値を探り、守り継承する意義を学びます。
       講話とワークショップ:歴史資料レスキュー体験 記録・洗浄・還送などの一連の流れを体験します。

2回 2 月13 日(土)10:00〜12:00
        ワークショップ:地域に残る文化遺産のマッピング

以降、参加者の希望で決定します。

 第253 号(2015 年12 月17 日)

       仙台市博物館企画展「せんだい再発見!」開催
                                   仙台市博物館 菅野正道






 仙台市博物館では、企画展「せんだい再発見!―こんなことわかりました。平成の『仙台市史』」を、12月5日(土)から開催しています。
 市制100周年記念事業として平成2年から始まった仙台市史編さん事業は、仙台市博物館が事業主体となり、平成26年度までに全32巻を刊行し完結しました。本展は、20年以上にわたる市史編さんの過程で調査・収集してきた資料の中から代表的・特徴的なものを選んで展示し、地下鉄東西線の開業で新たな時代を迎える仙台という地域を、改めて見直す機会とするものです。前期・後期で合わせて約160件の展示資料を通して、今まであまり語られてこなかった歴史と文化が『仙台市史』の成果をもとに浮かび上がります。ぜひ、ご観覧ください。

 主な展示資料としては、重要文化財に指定されている留守家文書、原本が初公開となる留守政景書状、仙台市域の文政村絵図や検地帳、仙台城の懸造を題材とした絵画資料などがありますが、ほかにも注目していただきたいポイントを幾つかご紹介します。

1.東日本大震災関連の展示    

 東日本大震災後、仙台市博物館は宮城資料ネットや文化庁、国立公文書館など関連機関の協力をいただきながら、仙台市内の被災歴史資料の調査、保全活動を行ってきました。その過程では、市史編さん事業で蓄積された情報が有効に活用され、また委員として市史に関係した研究者や市史編さん室のスタッフが精力的な活動を行いました。
 このような経緯から、今回の企画展では、東日本大震災の津波で被災し、保全された資料の展示を行いました。津波で被災した中野小学校・荒浜小学校・東六郷小学校の学校資料、海水で劣化した荒浜の古文書や三本塚の涅槃図、荒井にある大日堂の祭礼で用いられていた江戸時代ののぼり、種次の旧家で流失をまのがれた近代の気象・災害の記録などが展示されています。
 また他のコーナーでも、2千年前の津波の痕跡を示す沓形遺跡の断面剥ぎ取り標本や、貞観地震についての記述がある『日本三代実録』、被災地に関する江戸時代の絵図も展示されています。
 東日本大震災からまもなく5年を迎えようとしており、震災復興に関しては「区切り」や震災の記憶の風化が言われ始めています。しかし、被災地の歴史や東日本大震災も含めた災害の記録を調べ、伝えて発信していくことは、終わりのあることではありません。この展示が、また新たな出発点になることを願っているところです。

2.公文書の展示

 仙台市史の編さんでは、当然のことながら多数の公文書を資料として活用してきました。また、市史編さん事業の過程では、仙台市に合併された宮城町や泉市(町、村)の公文書の一部や、仙台市の公文書で保存年限が満了となった公文書の一部を収集・保存してきました。
 このような経緯から、今回の企画展では公文書を展示するコーナーを設けました。これは、仙台市博物館の企画展・特別展としても初めてのこととなります。戦前に行われた周辺自治体の合併に関する文書、仙台市の市章制定に関する文書、仙台空襲に関する文書などを展示するほか、今回の企画展が地下鉄東西線の開業記念も兼ねていることから、仙台市域の鉄道に関する公文書をセレクトしています。

3.伊達政宗文書

 『仙台市史』の目玉企画の一つが伊達政宗発給文書の集成でした。全国各地を調査し、合計で4千点以上の文書を『仙台市史』に収録することができました。今回の企画展では、伊達政宗の発給文書をコレクション展示室に大集合させ、前期と後期に分けて30数点を展示しています。前期は政宗のセキレイ花押の文書と印判状、後期は政宗が家臣や家族に宛てた手紙を中心に、内容や宛て先も吟味し、それぞれ政宗の生涯を通観できるような構成としています。
 伊達政宗文書は仙台市博物館の展示資料としては欠かせないものですが、これだけの数を、しかも一つの展示室を丸ごと使ってご覧いただける機会はほとんどありません。この機会に政宗文書を通じて、戦国時代から江戸時代初期の仙台に思いをはせてはいかがでしょうか。

 このほか、今回の企画展では講座「こんなことわかりました。仙台市史」や展示室で資料解説を行う「コーナートーク」、博物館1階ギャラリーで同時開催の関連展示「市史編さん事業展 あれコレ?せんだい」、仙台門松の復元展示など、仙台の歴史により親しめるような企画を満載しています。詳しくは仙台市博物館ホームページを参照ください。ご来館をお待ちしております。
http://www.city.sendai.jp/kyouiku/museum/tenrankai/index.html

展覧会概要
1 会期 12月5日(土)〜平成28年2月28日(日)
※期間中、一部展示替えがあります
前期:12月5日(土)〜1月17日(日)
後期:1月19日(火)〜2月28日(日)
2 開館時間 9:00〜16:45(入館は16:15まで)
3 休館日 毎週月曜日(1月11日は開館)、12月24日(木)
12月28日(月)〜1月4日(月)
1月12日(火)、2月12日(金)
4 観覧料 常設展料金
一般・大学生 400円、 高校生 200円、 小・中学生 100円
※各種割引についてはお問い合わせください
問い合わせ先:仙台市博物館情報資料センター(022−225−3074)


 第252 号(2015 年12 月16 日)
 
   1 月の歴史資料保全ボランティアを募集します

2016 年も1 月より下記の要領でボランティア活動を実施いたします。
来年も引き続きご協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。
【作業内容】
東日本大震災で被災した歴史資料(古文書など)のクリーニング・整理作業
【作業場所】
東北大学災害科学国際研究所5 階 (仙台市青葉区荒巻字青葉468-1)
*駐車場は利用できませんので、公共交通機関でお越しください。
例)仙台駅からの交通手段
・仙台地下鉄東西線「青葉山」駅下車 南1 出口より
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/profile/campus/01/aobayama/index-03.html

【実施日時】
週に1 回程度、下記の要領で作業を予定しております。
ご参加いただける方は、必要事項をご記入の上、メール・FAX・郵送のいずれかで、
下記連絡先までお申し込みください。

宮城歴史資料保全ネットワーク事務局(担当:天野)
980-0845 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉468-1
東北大学災害科学国際研究所 歴史資料保存研究分野気付
E-mail: office※miyagi-shiryounet.org ※=@
FAX : 022-752-2142
*末尾の事務局連絡先番号と異なりますのでご注意ください。
【その他】
作業に必要な道具等(マスクなど)は準備しておりますが、汚れても良い服装を
ご準備下さい。

参加申込書

◆お名前 :
◆ご所属 :
◆ご連絡先
ご住所:
電話/電子メールアドレス(メールはなるべくパソコンのものをお願いします)
※上記の個人情報は、参加者の管理・集計および今後の活動案内に使用いたします。
◆ご希望日時 ※部分参加も可能です。
下記の内、ご希望日時をチェックしてください。
部分参加の場合はその旨ご記載ください。
□1 月13 日(水) 10:30〜17:00
□1 月20 日(水) 10:30〜17:00
□1 月27 日(水) 10:30〜17:00

<事務局・連絡先>
NPO法人 宮城歴史資料保全ネットワーク
980-0845 仙台市青葉区荒巻字青葉468−1
東北大学災害科学国際研究所 人間・社会対応研究部門 歴史資料保存研究分野 気付
電話 022-752-2142/2143
メール office※miyagi-shiryounet.org  ※=@ 


251 号(2015 年12 月3 日)

 BS12 トゥエルビ「未来への教科書」宮城資料ネットの特集番組が放映されます

事務局の佐藤大介です。今週12 月5 日土曜日朝6 時30 分より、BS12 トゥエルビ「未来への教科書〜For OurChildren〜」にて、宮城資料ネットの特集が放送されます。BS デジタル放送が受信できるすべての地域で視聴できます。多くの方に御覧いただければ 幸いです。


復興支援ドキュメント 未来への教科書〜For Our Children〜
第110 回 『歴史はよみがえるのか?〜震災で失われたもの〜』

放送時間
12 月5 日(土) 6:30 〜 7:00 / 27:00 〜 27:30
*再放送
12 月19 日(土) 6:30 〜 7:00 / 27:00 〜 27:30
番組の詳細 http://www.twellv.co.jp/program/documentary/mirai.html
*BS12 トゥエルビの視聴方法(無料) http://www.twellv.co.jp/howtowatch/

 追伸 
 12月4日(19日)放映の「未来への教科書」について、番組制作会社の方から、FacebookとYouTubeの案内がありました。

Facebook
https://www.facebook.com/RAmediateam/photos/a.202658129757588.48377.199290250094376/997612333595493/?type=3&theater

番組予告の映像
https://youtu.be/Nkc0CCczsoM

周りの方にご案内いただけますと幸いです。

              


250 号(2015 年11 月12 日)

         文化財保存修復学会公開シンポジウム
  「文化財を伝える-東日本大震災で被災した文化財を考える」

12 月19 日に東北歴史博物館において、東日本大震災でレスキューされた文化財のその後について考える公開シンポジウムが開催されます。
事前申込み制となっておりますが、ふるってのご参加をお願いいたします。詳細、申込みにつきましては下記ホームページをご参照下さい。
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◆文化財保存修復学会公開シンポジウム
文化財を伝える ―東日本大震災で被災した文化財を考える

・日時:2015 年12 月19 日(土)13:00〜16:25 (開場12 時)
・会場:東北歴史博物館(宮城県多賀城市 JR 東北本線国府多賀城駅隣)
・定員:280 名/参加費無料/(要事前申込)

※申し込み方法は下記ホームページ参照
http://jsccp.or.jp/sympo_tohoku/index.php
・主催:一般社団法人文化財保存修復学会
・共催:東北歴史博物館
・後援:文化庁、日本文化財科学会、東北大学災害科学国際研究所、宮城県被災文化財等保全連絡会議、NPO 法人宮城歴史資料保全ネットワーク、一般社団法人国宝修理装.師連盟、読売新聞社

開催趣旨
2011 年に未曾有の被害をおこした東日本大震災は、地域に根ざした文化財にも大きな被害をもたらしました。文化財保存修復学会は、被災地支援の観点から、研究対象とする文化財に着目し、東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援委員会の構成団体のひとつとして、文化財レスキュー事業に参加し、多くの学会員が被災地に赴いて文化財の救出・一時保管・応急措置の作業に携わってきました。また、劣化損傷が著しく、本格的な保存修復処置が必要な文化財については、その文化財の保存修復を専門とする会員を派遣し、修復設計を実施するなどの支援もあわせて展開しています。これら一連の支援
活動は、文化財保存修復学会が阪神・淡路大震災以降、災害対策調査部会を設置し、被災した文化財の支援活動を20 年にわたって実践してきた経験に裏打ちされたものです。

そこで、本シンポジウムでは、東日本大震災で文化財レスキューされた被災文化財の「その後」に注目します。ここでは、文化財レスキューされた多くの文化財が地域復興にどのように関わりをもっているのか、あるいは地域再生のためにどのように活用されるべきなのかについて参加者の方々とともに考える機会となることを期待します。

・プログラム


対談:「未来へ伝える文化財防災」
平川新(宮城学院女子大学学長)× 森田稔(九州国立博物館名誉館員)

講演

「地域歴史資料と災害対策〜宮城歴史資料保全ネットワークの取り組みから考える〜」
天野真志(東北大学)「被災文化財を伝える〜宮城県の現状と東北歴史博物館の取り組み〜」
小谷竜介(東北歴史博物館)「文化財防災ネットワークの構築を目指す」
和田浩(東京国立博物館)

パネルディスカッション
コーディネーター:日高真吾(国立民族学博物館)
パネラー:
天野真志(東北大学)×小谷竜介(東北歴史博物館)×和田浩(東京国立博物館)


249 号(2015 年10 月18 日)

  「カメラスライダー」を活用したいわゆる「横長帳」撮影の新手法

1 「横長帳」の撮影
 宮城資料ネットでは、これまで100 件を超える個人所蔵者方で、100 万ファイルを超える、古文書史料のデジタル撮影を行ってきました。
 冊子、一枚の紙、継ぎ合わせた紙・・、さまざまな形の古文書の中でに「横長帳」と呼ばれる形態の文書があります。横長の、右短辺綴じの帳簿です。宮城県ほか仙台藩領では、江戸時代の村のさまざまな税金に関する文書や、藩からの通達などを書き留めた「御用留」(ごよう・どめ)、さらには商家などでは、江戸時代から、洋式の会計帳簿が普及する昭和の初めに至るまで、経営に関わるお金の出入りを記録する帳簿として用いられました。これららは、地域の歴史を知る手がかりとなる基本的な記録で、全国的にも、同じような用途で使われた「横長帳」が多数残っています。
 これらの帳簿は、時にその厚さが10 センチ前後にも及ぶ場合があります。私自身の経験では、1冊の帳簿を撮影するのに、3時間かかったこともあります。1冊の帳簿は数百コマの写真になるのですが、それでも、全体では「1000 点の文書のなかの『1点』の撮影が終った」に過ぎません。宮城資料ネットでは、帳簿の見開きを片側ずつ撮影しているため(見開きで撮影すると、資料の写真が小さくなり、文字が小さくなってしまう・細かな文字が読めなくなる恐れがある)、「横長帳」のページ(丁)をめくる度に、史料本体を左右に動かさなければならないからです。限られた調査時間の中で、「横長帳」の撮影時間をどのように短縮するかが大きな課題でした。
 宮城資料ネットが公開しているマニュアルでは、「デジタルカメラを二台用いて、左頁・右頁を別々に撮影し、最後にパソコン上で並べ替える」方法をとってきました。これは、史料自体は動かさず、見開きのままで左右を撮影することで、時間の短縮にはつながります。しかし、カメラが2台必要なこと、カメラの設定やファイルの並べ替えが煩雑で、これらの操作を苦にしない人でないと難しいという課題が残っていました。

2 「水戸会議」―茨城大学での撮影講座にて
 その中で、今年7 月1日、茨城史料ネットでの撮影講座に講師として招かれました。参加者は、佐藤と、撮影スタッフの伊東幸恵さん、後藤三夫さん、黒田昌弘さんの4名。講座が始まる前の昼食の時間、控え室として用意された、茨城大学の研究室で、「横長帳」の撮影の話題が始まりました。ちょうど、仙台で横長帳を多く含む史料を撮影していたところで、上述した欠点について話題になったのです。撮影するカメラ自体を左右に移動できれば時間を短縮できるが、そのためには道具を特注するしかないのか・・・。すると、黒田さんから、「市販品でカメラを雲台に固定したまま、横にスライドさせる道具があるはずだ」との発言。早速手元のスマートホンで様々にキーワード検索を掛け、その道具―カメラスライダーを見つけました。
 カメラスライダーの本来の用途は、映像の移動撮影です。映画の撮影で、レールの上にカメラを乗せ、被写体となる俳優さんなどの動きに合わせて撮影している風景をご覧になったことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。あれが、移動撮影です。近年、デジタルハイビジョンカメラの普及と小型化により、大きな映画フィルムカメラを動かすためのレールもカメラスライダーへと小型化し、一般の撮影者でも入手して使用できるようになっていたのです。

3 カメラスライダーを入手せよ−水戸から東京、そして仙台へ

 「すぐに買いに行くべし」。1 日の夜、伊東さんからの号令を受け、黒田さん、そして後藤さんの二人は、翌7 月2 日早朝に水戸を発ち、東京都は新宿駅西口の、某家電量販店のカメラ売り場に急行しました。
 後藤さん、黒田さんは、本来の用途と異なり、カメラスライダーを天地逆に用いるので、スライド部分がカメラの重みで落下しないかを、店頭で現物合わせしながら確認しました。コンパクトカメラ程度の重さなら、逆さまに設置しても問題ないとわかり、早速、最も安い価格の1台を購入し、仙台に持参しました。
 その後、試験的に撮影を進め、8 月からは本格的な運用を開始しています。長年の課題だった横長帳への対応が、大きく前進しました。

4 カメラスライダーを用いた「横長帳」の撮影方法
 撮影方法ですが、次の通りです。
@カメラスライダーを、三脚の雲台部分に、天地逆に取り付ける。
Aカメラスライダーにも雲台を取り付け、そこにカメラを取り付ける(雲台も別途購入する)。
B横長帳を、表紙→右丁→左丁の順に、カメラをスライドして撮影する。左右の写り方が同じになるよう、液晶画面を見て確認しながらカメラを動かす。
 設置時に多少時間がかかりますが、これまでとは比べものにならない速さで、一冊の帳簿が撮影出来るようになりました。カメラ一台ですから、ファイルの並べ替えも不要です。一連の工程については、近日中にマニュアルの方にも公開したいと思います。


宮城資料ネットでは、効率的で、一般市民でも参加出来る形での撮影方法について、日々の保全活動を通
じて、引き続き考案していきます。
 


 第248 号(2015 年10 月18 日)
 
   大崎市岩出山地区で古文書撮影講座を実施

 事務局の佐藤大介です。去る10 月9 日、大崎市岩出山地区で、地元の古文書解読サークル「岩出山古文書の会」を対象にしたデジタルカメラでの古文書撮影講座を実施しました。 (撮影の指導→)
 宮城資料ネットでは、デジタルカメラを用いた簡易な古文書撮影方法についてウェブで公開すると共に、実地での普及を図っております。これまで、2012 年9 月のふくしま歴史資料保存ネットワーク、2013 年10 月山形歴史遺産防災ネットワーク、今年7 月の茨城文化財・歴史資料救済・保全ネットワークで実施してきましたが、宮城県内での実施は今回が初めてです。2012 年度から岩出山古文書の会を支援している、東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料研究部門の友田昌弘さんを通じての依頼でした。
 宮城資料ネットからは佐藤と、事務局で撮影ボランティアをお願いしている伊東幸恵さん、後藤三夫さん、黒田昌弘さんが講義を担当しました。友田さんと、岩出山からの参加者は11 人でした。講義では、佐藤から最低限の注意点を説明した後、3班に分かれ、伊東さん、後藤さん、黒田さんがほぼマンツーマンの形でデジタルカメラでの撮影を指導しました。さらに、パソコンを用いた撮影画像の集約方法についても伝えることが出来ました。
 参加者からは、「古文書が読めなくても役に立つことがある事が分かった」、「緊張したが講習を受けられてよかった」などの感想がありました。こちらも、講座の必要時間、内容、個別指導の重要性など教える側としてのポイントを確認することが出来ました。むろん、岩出山古文書の会への支援は一度の講座で終わりではなく、自立して活動できるようになるまで継続できればと考えています。
 各地に膨大に残る古文書史料を残すには、市民が参加出来る形で活動することが必須です。予算や人員に制約があるから、という消極的な理由だけではなく、「自分たちの町の歴史を、自分たちで守っている」という実感こそが、史料を社会的に守り、招来に伝えていく上で重要な動機ではないかと思います。撮影講座については、今後も色々な形で企画できればと思います。 (画像集約方法の指導→)

 247号(2015年10月8日)

    歴史講演会「よみがえる石巻の歴史」を開催します

事務局の佐藤大介です。来る10月25日日曜日に、宮城県石巻市で歴史講演会「よみがえる石巻の歴史」を開催します。多くの方にご来場いただければ幸いです。
 なお、当日は宮城県議会選挙の投票日となっております。宮城県内の方は、投票を済ませてからお越しいただければ幸いです。


歴史講演会「よみがえる石巻の歴史」

日時 2015年10月25日(日) 13:00〜16:00
場所 石巻かほくホール (石巻市千石町4-42 )
*申し込み不要・入場無料/駐車スペースが少ないため公共交通機関をご利用ください。

プログラム

あいさつ  平川 新(NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク理事長・宮城学院女子大学学長) 

報告

 佐藤大介(東北大学災害科学国際研究所准教授) 「石巻市での被災歴史資料レスキュー」

 鈴木彩也花(東北芸術工科大学歴史遺産学科4年) 「「石巻市住吉勝又家資料」の整理」

 竹原万雄(東北芸術工科大学歴史遺産学科専任講師)「明治時代の感染症クライシス コレラから地域を守る人々」

 安田容子(東北大学災害科学国際研究所特別教育研究教員)「書画会の華やぎ 地域に息づく遍歴の文人たち」

■ 主 催  NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク
■ 共 催  石巻市教育委員会、石巻千石船の会、東北芸術工科大学芸術学部歴史遺産学科
■ 後 援
 東北大学災害科学国際研究所歴史資料保存研究分野 公益財団法人上廣倫理財団 石巻かほく

(趣旨文)
 東日本大震災では、多くの人びとの命や財産が失われました。それと共に、人びとが積み重ねてきた、地域の歴史や文化も大きな被害を受けました。
 NPO法人宮城歴史資料保全ネットワークでは、自治体や大学、市民ボランティアと連携して、津波などで被災した、地域の歴史を語る古文書その他の資料の救出を続けています。それと共に、被災した地域で積み重ねられ、今まさに失われている「ふるさとの歴史」を再生し、それらを広く共有しながら、将来に継承するための活動を展開しています。
 今回の講演では、震災後の石巻市街地で救出された資料などから、危機管理と文化交流のありさまについて紹介し、港町・石巻で繰り広げられた歴史の一端を、共有できればと考えています。今回の講演会が、被災された皆様の心の復興
に、少しでもお役に立てれば幸いです。

 246号(2015年10月2日)

    歴史資料保全のボランティア募集を再開します


これまで宮城資料ネットでは、2011年東日本大震災で被災した歴史資料のクリーニング・整理作業を実施してきました。その後、事務局の移転等により一時作業を中断しておりましたが、10月より下記の要領でボランティア募集を再開いたします。

宮城資料ネットでお預かりした被災歴史資料は、依然として未着手のものが多く残されております。これらを安全なかたちで所蔵者の方にお返しするとともに、将来的な保存、次世代への継承を進めていくために、今一度みなさまのご協力をお願いいたします。

作業内容
 東日本大震災で被災した歴史資料(古文書など)のクリーニング・整理作業

作業場所
 東北大学災害科学国際研究所5階 (仙台市青葉区荒巻字青葉468-1)

 *駐車場は利用できませんので、公共交通機関でお越しください。
  例)仙台駅からの交通手段
    ・仙台市営バス 仙台駅西口バスプール9番のりば
    宮教大行き・青葉台行き (710,713,715系統)  「情報科学研究科西」下車 すぐ

https://www.tohoku.ac.jp/japanese/profile/campus/01/aobayama/index-03.html

 →「59」の建物
 正面玄関はバス停から見て建物の裏側になりますのでご注意ください。また、バス停側の通用口は、研究所職員以外の利用はできませんのでご了承ください。

【実施日時】
 週に1回程度、下記の要領で作業を予定しております。ご参加いただける方は、必要事項をご記入の上、メール・FAX・郵送のいずれかで、下記連絡先までお申し込みください。

 宮城歴史資料保全ネットワーク事務局(担当:天野)
 980-0845 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉468-1 
 東北大学災害科学国際研究所 歴史資料保存研究分野気付
 E-mail  office○miyagi-shiryounet.org (○=@)
 FAX : 022-752-2142
     *末尾の事務局連絡先番号と異なりますのでご注意ください。

【その他】
作業に必要な道具等(マスクなど)は準備しておりますが、汚れても良い服装を
ご準備下さい。

-----------(キリトリ)----------------

参加申込書

◆お名前 :

◆ご所属 :

◆ご連絡先 
ご住所:
      
 電話/電子メールアドレス(メールはなるべくパソコンのものをお願いします)


 ※上記の個人情報は、参加者の管理・集計および今後の活動案内に使用いたし
ます。

◆ご希望日時 ※部分参加も可能です。
下記の内、ご希望日時をチェックしてください。部分参加の場合はその旨ご記載
ください。

 □10月7日(水) 13:30〜17:00
 □10月14日(水) 13:30〜17:00
 □11月4日 (水) 13:30〜17:00
 □11月11日(水) 13:30〜17:00
 □11月18日(水) 13:30〜17:00
 □11月25日(水) 13:30〜17:00
 □12月2日 (水)  13:30〜17:00
 □12月16日(水) 13:30〜17:00

--
-----------(キリトリ)----------------

245 号(2015 年9 月16 日)

   9 月豪雨への対応(2報)追加 冷凍庫の確保について

事務局の佐藤大介です。メールニュース244 号でお送りした「写真資料の応急処置」につきまして、金野聡子さんからご提供いただいた写真資料への対応について、脱漏がございました。本ニュースにて追加情報として送らせていただきます。不手際をお詫び申し上げます。


確保が可能であれば、冷凍庫の確保をおすすめします。古文書も写真も凍結させておけば、後から処置することが可能です。これから気温が上がることはそれほど無いとは思いますが、凍結させておけば一安心です。

情報提供をよろしくお願いいたします。

244 号(2015 年9 月16 日)

     9 月豪雨への対応(2報) 情報提供のお願い

 事務局の佐藤大介です。9 月豪雨による文化財・歴史資料への対応を続けています。宮城資料ネットからは、宮城県および県内各市町村の担当課へのメール連絡、各地の郷土史家の方や、所蔵者の方に電話などで直接連絡を取り、情報収集を続けております。

◇写真の水損について
 その中で、現代の写真が水損した、という相談が寄せられました。これらは、私どもが対象とする「歴史資料」ではまだありませんが、3.11 の経験を踏まえれば、被災された皆様の生活再建に重要な役割を持っており、文化財・歴史資料調査の場においても、可能な範囲での適切な対応が求められると考えます。
この点について、大船渡市の修復家である金野聡子さんからご提供いただいた情報を共有させていただきます。

【現代のカラー写真】
 総務省の「震災関連デジタルアーカイブ構築・運用のためのガイドライン(2013 年3 月)」ガイドライン37 頁から、水害にあった写真の処置方法が掲載されております。http://yahoo.jp/box/gjrtl5 *宮城資料ネット事務局にて抜粋 ここに記載されている処置方法は、あくまでも現代のカラー写真の処置方法です。昔の白黒写真(通称”バライタ”)は、カラー写真と一緒に干してしまうとカーリングしてしまうので、処置には注意が必要です。

【ネガ】
 また、ネガについてですが水洗(普通の水道水)でも大丈夫です。ネガ自体のためには富士フィルムの”ドライウェル”で洗浄すれば水洗浄よりは水滴跡は残りません。ただし、水洗については状態の良いネガに限ります。 (縁の色が溶けているネガに関しては、水洗してもそこから写真を現像できない可能性の方が高いようです)

◇電子媒体の水損について
 現代の情報源として、パソコン、ハードディスク、DVD、フラッシュメモリなど電子媒体が挙げられます。これらも、生活記録の復旧、という観点から重要な問題です。これも、前述のマニュアルに簡易的な対応方法が載っております。

http://yahoo.jp/box/452zsB *宮城資料ネット事務局にて抜粋 電子媒体への対応の問題については、茨城史料ネットの添田仁さんから、ご指摘をいただいたものです。

 以上の点について、支援や、情報提供いただける方は、ひとまず本事務局までご連絡いただければ幸いです。

(抜粋元資料)
総務省「震災関連デジタルアーカイブ構築・運用のためのガイドライン(2013 年3 月)」
http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/02ryutsu02_03000114.html

243 号(2015 年9 月11 日)

      9 月10 日から11 日にかけての豪雨災害への対応

 各位

 各種報道でご承知のとおり、茨城・栃木県周辺で発生した豪雨災害につきまして、昨日より宮城県においても各地で大きな被害が出ております。河川の氾濫および土砂崩れが発生しており、今後も予断を許さない状況です。被害に遭われたみなさまには、心よりお見舞い申しあげます。また、引き続き警戒が必要な地域の方は、十分にご注意ください。

 現在も豪雨の続いている地域もございますように、今後もさらなる被害が予想されます。それに伴いまして、被災地域の歴史資料救済・保全の必要性も生じてくるとも考えられます。

 宮城資料ネット事務局では、すでに個別の情報収集を始めておりますが、今後も各地の情報収集に努めてまいりますので、みなさまからも情報をお寄せいただけますと幸いです。
 また、資料の水濡れ被害への対応など、お手伝いできることがございましたら、遠慮なくお問い合わせください。

 <事務局・連絡先>宮城歴史資料保全ネットワーク
              電話・FAX 022-752-2143  eメール:office●miyagi-shiryounet.org (●=@) 


第242 号(2015 年7 月7 日)

       茨城史料ネットで古文書撮影講座を実施しました。


 事務局の佐藤大介です。 平成27 年7月1日、茨城大学(茨城県水戸市)にて、茨城文化財・歴史資料救済・保全ネットワークにおいて、古文書史料の撮影講座を実施しました。
 日本の地域社会に大量に残された古文書資料への災害対応の一つに、複製を作成して原本の破損や消滅に備えるという対応があります。一件あたり数万点に及ぶ場合も珍しくない史料群全点を、なるべく短期間で記録するため、一般市民でも取り扱いが比較的容易なデジタルカメラでの記録方法を公表しています。
   (絵:講座の様子) 

 茨城史料ネットば、茨城大学の学生や大学院生を中心に運営されています。「宮城方式」の撮影方法については、インターネットや、同ネットの活動に参加した宮城資料ネットの会員が個別に指導したことがありました。一方、学生が中心であるがゆえの人員の入れ替わりや、正式な機会を通じた撮影方法の共有化の必要性について、茨城ネット事務局の添田仁さんと話し合い、今回の講座を開催する運びとなりました。

 当日は、90 分の講義と実技を2 回行いました。茨城大学の学生や大学院生、さらに茨城史料ネットに参加している一般市民らに、使用する道具の説明や、史料の形状ごとに撮影に際して注意すべき点などについて述べました。また、今回は宮城で撮影に従事している市民スタッフの伊東幸恵さん、黒田昌弘さん、後藤三夫さんの参加を得て、撮影班ごとに実技を指導してもらいました。私自身の講義の練度が低く、普及に際しての課題も多く見つかりましたが、将来、その多くが地域の文化財保存の担い手となるであろう学生のみなさんと交流する良い機会となりました。茨城史料ネットの皆様にこの場を借りて御礼を申し上げます。

 (宮城資料ネットスタッフによる実技指導)






 茨城史料ネットは、この7 月2 日で発足4周年を迎え、1日の講座開始前にはセレモニーが行われました。撮影講座については当初40 名ということでしたが、60 名近くの参加を得ました。また、合間には茨城史料ネットの事務局での活動の様子について、その一端を知る事が出来ました。大学院生が中心となった運営は、非常に組織だったもので、一般市民と学生による文書整理作業は、、史料を通じた世代間交流の場となっていました。

 個人的な感想ですが、学生の活動や学習の結果、歴史資料が物理的に救出され、直接所蔵者や地域住民の要望に応えている、といった即物的な効果のみを評価すべきではないと思います。世代を超えた人びとが地域の歴史資料に触れ、地域の歴史を学び、現代の社会との関わりを考える場は、歴史資料を通じた文化的な雰囲気を生み出すのに大変重要だということを改めて感じました。その雰囲気を肌で感じた学生のみなさんが、専門職に就くかどうかにかかわらず、社会に巣立っていくことで、先人の遺した歴史文化的な蓄積が活かされる機会や、それを前提とした地域作りの輪が、少しずつ広がっていけばと感じます。むろん、これは茨城の学生の方々より少し早く歴史資料を守る活動に関わっている者の願望です。まずはそれぞれの感性と、出来る範囲で活動を続けていくことを願っています。

 今回、歴史資料によってつながりを生み出す、という部分では、教えられることの多い訪問となりました。引き続き交流の機会を持ち、学びあうことが出来ればと思います。   (絵:茨城資料ネットでの文書整理作業)


241 号(2015 年7 月3 日)

    温泉旅館の古文書展示       高橋陽一(東北大学東北アジア研究センター)


 宮城県柴田郡川崎町青根温泉の「湯元 不忘閣」(佐藤仁右衛門家)は江戸時代に温泉の湯守も務めた老舗の温泉旅館です。離れの御殿をはじめとする建物は国の登録有形文化財に指定されています。古文書も多数所蔵されており、宮城資料ネットと東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門、川崎町が協力して調査を進めてきました。昨年7月には、その成果報告も兼ねて、公開講演会「川崎のほこり〜ふるさとの歴史と文化〜」(上記三団体の共催)を開催しています。
 このたび、佐藤家の古文書の魅力をより多くの方々に知っていただこうと、御殿内での古文書展示を始めることにしました。この春から準備を進め、6 月24 日に完成しました。ガラスケース3 つ分(各3 段)のスペースに古文書15 点を並べ、解説用のアクリルプレートも作製し、設置しています。古文書は主に江戸時代のもので、仙台藩主が来訪したことなど、青根温泉の江戸時代の歩みがわかる展示になっています。
 展示に際しては、佐藤家の皆様はもちろん、川崎町の方々にもご協力いただきました。青根温泉は蔵王から7 キロほどの位置にあり、火山活動による風評被害の影響も受けています。歴史研究や古文書調査のノウハウを活かして、そうした地域に少しでも明るい話題を提供できたのであれば幸いです。また、地域の古文書は、積極的に活用しなければ後世に伝わっていかないと思います。今後もこうした活動を継続していきたいです。
 青根温泉は仙台から車で1 時間弱です。もちろん温泉自体も素晴らしく、宿泊もお勧めです。是非お越しいただき、知られざる温泉の歴史をご覧ください。







 第240 号(2015 年6 月25 日)
 
  「よみがえるふるさとの歴史」シリーズ第5 集、6 集、7 集刊行 

 事務局の安田です。宮城資料ネット企画による「よみがえるふるさとの歴史」シリーズ第5 集、竹原万雄著『明治時代の感染症クライシス これらから地域を守る人々』、第6 集、J.F.モリス著『仙台藩「留主居」役の世界 武家社会を支える裏方たち』、第7 集、安田容子著『書画会の華やぎ 地域に息づく遍歴の文人たち』が蕃山房より刊行されました。

よみがえるふるさとの歴史5
 竹原万雄著『明治時代の感染症クライシス コレラから地域を守る人々』エボラ出血熱、デング熱などの感染症が話題となっていますが、感染症への危機感は時代を超えます。明治15 年(1882)にコレラが大流行。全国で死者は33,784 人、宮城県では2,361 人にのぼりました。この時、石巻地区で感染症予防に奮闘した、医師、警察、有志の人々の姿を描き出します。









よみがえるふるさとの歴史6
 J.F.モリス著『仙台藩「留主居」役の世界 武士社会を支える裏方たち』これまで分析のメスが入らなかった、藩制時代における城下町と各地域との関係性に、仙台藩の上級家臣の仙台屋敷と在郷屋敷をめぐり具体的に迫ります。ここで活躍するのが「留主居」役です。組織を成立させる緩衝役としての専門職であり、責任を負い、ハードワークをこなします。
















よみがえるふるさとの歴史7
 安田容子著『書画会の華やぎ 地域に息づく遍歴の文人たち』明治時代のころ、日本各地で詩書画を楽しむ文人たちの交流の場としての書画会が盛んに催されました。石巻周辺でもその跡を見ることができます。地域の人々は文人を集め、滞在場所を提供しました。文人は著名な人も無名な人も、その地域と交流し各地を訪れ書画を残しています。


多くの方にご覧いただければ幸いです。

 なお、7 月末には、第8 集、七海雅人著『躍動する東北「海道」の武士団 鎌倉・南北朝時代の興亡』が刊行予定です。
 詳細・購入につきましては蕃山房公式サイトをご覧下さい。http://banzanbou.com/


 239 (2015 年6 月24 日) 

  岩手県一関市で公開シンポジウムを開催しました

 事務局の佐藤大介です。6 月20 日、岩手県一関市の室蓬ホールにて、公開シンポジウム「磐井の江戸時代をほりおこす―一関市大東町・金(こん)家文書の世界」を、一関市教育委員会、東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料研究部門(上廣部門)との共催で開催しました。
 
 金家での保全活動は、2012 年度これまでの3 年間で46 日間、述べ357 人で、全体の約半数の史料、約11万コマの撮影を終えています。前号でもお知らせしたとおり、今回のシンポジウムは、その保全活動における最初の現地報告会です。

 報告では、佐藤から全体の概要として、金家での実際の活動を事例に、地域の歴史資料を守る事の意義や、それらを地域の人びとが心ゆたかに暮らしていける新しい社会作りに活用することの重要性を述べました。

東京農工大学の高橋美貴さんからは、18 世紀初頭に発生した山論から浮かび上がった山林利用の実態と特質について、一関市芦東山記念館の張基善さんは、仙台藩の儒学者・芦東山の門人であった、18 世紀中頃の当主・金孝蔵との学習など日常交流の実態が報告されました。
  (公開シンポジウムの様子6 月20 日  →) 
  
 シンポジウムには、一関市や仙台市などから約220 名の来場者がありました。上廣部門や、一関市芦東山記念館の様々な広報の成果でもありますが、その上で想定していた来場者を上回るものでした。地元の歴史に対する関心の高さを改めて感じました。また、共催した2つの郷土史団体の代表の方々からは、高齢化と過疎化が進む地元にとって、地域への愛着や誇りを持つため、歴史に学ぶこと必要性を強く訴えておられました。今回の報告会が、金家文書も含めた磐井郡東山の歴史に改めて注目し、多くの人びとの協力で、地域の歴史文化全体の保全と継承を実践していくきっかけとなればと考えています。

 末筆になりますが、シンポジウム開催に尽力いただいた関係各位、金家の皆様に改めて御礼申し上げます。
 なお翌21 日には、金家文書のデジタル撮影を実施し、約2500 コマを撮影しています。

 第238 号(2015 年6 月5 日)

 NPO 法人宮城歴史資料保全ネットワークシンポジウム
 「磐井の江戸時代をほりおこす−一関市大東町・金家文書の世界」

 事務局の佐藤大介です。来る6 月20 日土曜日、東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料研究部門との共催で、岩手県一関市にて公開シンポジウムを開催することとなりました。2012 年度から実施している、
 大東町・金家での保全活動およびそこで確認された史料に関する関する最初の現地報告会です。詳細については下記をごらんください。多くの方々にご参加いただければ幸いです。

◇シンポジウム「磐井の江戸時代を掘り起こす―一関市大東町・金家文書の世界」
                                                      (pdfを開いて詳細をみる
■日時:平成27 年6 月20 日(土) 14:00〜16:30
■会場:大東コミュニティセンター 室蓬ホール
(岩手県一関市摺沢字街道下25-3 JR 大船渡線・摺沢駅となり)

■講演:
「金家文書との出会い〜史料保全活動の経緯〜」
   佐藤大介(東北大学災害科学国際研究所准教授)

「山論史料から見える江戸時代の東山〜境塚・山論絵図・草飼〜」
     高橋美貴(東京農工大学大学院農学府准教授

「芦東山の弟子金孝蔵」
     張 基善(芦東山記念館学芸調査員)

■参加方法:申込不要・入場無料
■主催:東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門
NPO 法人宮城歴史資料保全ネットワーク
■共催:一関市教育委員会
■後援: 興田史談会 大東郷土史研究協議会

■問合せ:東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門
      高橋陽一 TEL/FAX 022-795-3140  E-mail yoichi.takahashi.e1☆tohoku.ac.jp ☆=@




237 号(2015 年4 月17 日)


   栗原市N 家で史料レスキューを実施

 事務局の佐藤大介です。去る3 月17 日、宮城県栗原市にて個人宅での史料レスキューを実施しました。
 今回のレスキューは、3 月上旬の大型低気圧による強風の被害に対する活動です。対象となったN 家で、伝来していた文書や道具類、書籍などを保管していた倉庫が、強風による倒木で大破しました。3 月11 日に栗原市教育委員会からの連絡を受け、15 日に状況の確認、17 日に仙台からNPOメンバーと東北大学、神戸大学からの協力を得て6名で搬出作業を行いました。
 近代の書籍を中心に、ダンボール約70 箱分となりました。これらは栗原市で一時保管場所を確保できない状況だったので、仙台市の東北大学災害科学国際研究所に搬出しました。現在は、搬出したうちの江戸時代の文書や美術品について内容把握を行っています。

 当日の活動については、東北大学大学院の菅井優士さんの参加記をごらんください。

     

資料レスキュー活動参加記   栗原市N 家での史料レスキュー(2015 年3 月17 日)

  東北大学大学院文学研究科 博士課程前期一年 菅井優士

 先日大学院の講義でお世話になった事務局の佐藤大介氏から、仙台藩重臣のN 家の資料レスキューを行うので参加できる人を募っているとのお話を頂き、かねてから資料レスキューの現場活動に参加してみたかった私は、佐藤氏に参加する旨をお伝えし、当日の活動に参加することとなりました。
 今回のレスキューは、庭の木が倒れて半壊した倉庫から外に出した資料を一度災害科学研究所に避難させることが目的です。午前中にN 家の御宅に着き、はじめにその資料を保管していた倉庫を見させていただきました。かつてN 家の資料を守り続けていた倉庫は倒れた大木によって屋根が粉砕され、無残な姿となっており、資料を保管できるスペースはN 家には他になく、資料は一時的にガレージに置かれてありました。
そのままだと、雨が降ってしまうとすぐにでも資料が濡れてしまう状態にあり、急ぎ安全な場所に避難させる必要がありました。
 早速避難作業が始まり、資料に番号を振りながらダンボールに詰めていきました。活動自体初めての参加であった私は、作業を始める前は少し戸惑うのかと思っていたのですが、思いのほかスムーズに作業を進めることが出来ました。おそらくそれを可能にしたのは佐藤氏による講義の成果が表れたのだと思います。
佐藤氏の講義内容は「地域に残る歴史資料の保存と活用」をテーマとし、宮城資料ネットの活動事例をもとに、どのようにして地域に残る歴史資料を後世に伝えていくことができるのか、この問いかけを中心にして、受講者同士での議論を交えながら見識を深めていきました。その際に、今回のような資料救出の事例も紹介され、その際に救出の一連の作業を学びました。つまり、私にとってこのN 家での資料レスキューは今年度の学びを実践できる場でもありました。
 春の暖かな陽射しが差す中、N 家での整理作業も午後二時頃には終わり、ダンボールに整理した資料を車に乗せ、災害科学国際研究所に移しました。車から研究室に資料の運搬した際には、当日はN 家には赴かず、研究所で他の作業にあたっていた資料ネットの方々も加わり、多くの方の力を借りてその日のうちに作業を終えることが出来ました。
 今回のレスキュー活動は講義では参加することが出来なかった資料の避難作業であったため、とても良い経験を得たとともに、改めて地域の歴史資料を後世に伝えることの重要性を認識することになりました。また、多くの人たちによって歴史資料は守られていることを実感し、私が研究で用いる資料も多くの人の絶え間ない努力によりこれまで伝えられているのだと、改めてその貴重さに気付き、歴史を学ぶ研究する姿勢を省みざるをえませんでした。今後も引き続き、宮城資料ネットの活動に参加していきたいと思っております。拙文ではありますが、以上で私の活動参加記とさせて頂きます。

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